06ダイアリー

バイク便ライダーの休日。まさかの続編

面白いもので、思わぬ偶然というのはあるものだと思った。

前回、バイク便ライダーの俺の休日の楽しみは、愛車に乗って遠出し、地方の美味しい店を開拓することだという話を紹介した。

今日の目的地は、グルメサイトで口コミを調べた際、驚くことに星5つ評価がいくつも連続でついていた評判の蕎麦屋だ。山あいののどかな景色の中に佇む古民家風の店に着くと、昼時ということもあって店の前にはすでに小さな行列ができていた。やっぱり人気店だなと思いながら、ヘルメットを脱いで順番を待つことにした。

しばらくして、店員さんから「すみません、相席でもよろしければすぐご案内できますが」と声をかけられた。特にこだわりもないので「あ、全然OKですよ」と答え、店内へ通された。案内された大きな木製テーブルの席につこうとした、その時だ。

「……あれ? 先輩ですか!?」

対面から声をかけてきたのは、なんと会社で同じバイク便ライダーとして働いている後輩のSだった。普段の仕事で使う派手なユニフォームではなく、シックな私服にツーリングジャケット姿だったので一瞬気づかなかったが、間違いなくSだ。

「おいおい、なんでこんな所にいるんだよ!」と思わず笑ってしまう。話を聞くと、Sも休日はひとりでツーリングをするのが趣味で、今日はたまたま近くの温泉へ行く途中でこの蕎麦屋に立ち寄ったらしい。

そういえば……と思い出した。先週、会社で休憩中に「今度の休みはどこか温泉でも行って、うまい蕎麦でも食おうと思ってるんっすよね」とSが話していたのだ。実は俺が今日この店にやってきたのも、その時の会話がずっと頭に残っていて、「そういえば無性に蕎麦が食べたいな」と検索したのがきっかけだった。まさかその提案者本人と、同じ店の同じテーブルで鉢合わせするなんて思ってもみなかった。

運ばれてきた名物の天ぷら蕎麦は、香りが高く喉越しも抜群で、文句なしの絶品だった。「これはうまいっすねー!」「わざわざ走ってきた甲斐があったな」と、仕事の話やバイクの雑談を交えながら、最高の昼食を堪能した。

食べ終わって会計を済ませる。せっかく会ったし、この後はいっしょに温泉に・・・という話には当然のようにならない。お互いの休日計画を満喫するのだ。

店の外で「それじゃ、お気をつけて!」「おう、また会社でな」と互いに声を掛け合った。Sは予定通り目的の温泉へ、俺はそのまま足を伸ばして別の観光地へと向かうことにした。

偶然の出会いも含めて、最高の休日になった。また明日からの仕事を全力で乗り切るためのエネルギーを、たっぷりチャージできた気がした。

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