06ダイアリー

ライダーのお楽しみといえば、昼飯だ!

分刻みの配送スケジュールと格闘するバイク便ライダーにとって、昼休憩は張り詰めた緊張をゆるめる貴重なひととき。激しい都市の渋滞を抜け、愛車のエンジンを切った瞬間に訪れる静寂・・・このわずかな自由時間の中に、ささやかだが譲れない楽しみがあるのだ。

一番の楽しみは、少し離れた下町の路地裏にある行きつけの定食屋へ向かうことである。たとえ午前中の配送先が遠く、午後の集荷ポイントから少し離れてしまっていても、時間の許す限りバイクを走らせて通ってしまう。暖簾をくぐると、店内には香ばしい醤油と油の匂いが満ちている。あー、これこれ。

店に入ると、店のおばちゃんが「いらっしゃい」と迎えてくれる。顔を完全に覚えられているので楽だ。「空いている席にどうぞ」と促され、席にすわると、すぐに汲みたての水を運んできてくれる。「いつもの?」とさらりと聞かれるので、「お願いします」と答える。

しばらく待つと、熱々の鉄板から湯気を立てた「肉野菜定食」が運ばれてくる。シャキシャキのキャベツとジューシーな豚肉に特製タレがよく絡み、ご飯が驚くほど進む。この変わらない味と温かい接客が、疲れた身体と心にしみわたっていく。

もちろん、スケジュールが過密な日はのんびり定食を食べる余裕などない。そんな時はコンビニでサッと弁当を買い込み、駐車場や公園で済ませる。そういえば公園ではカラスにサンドイッチを袋ごと持って行かれたこともあった・・・。

イートインスペースがない店舗も多いため、雨が降る日などはヘルメットのシールドに落ちる雨粒を眺めながら、高架下やバイクのシートの上で身を縮めて食べる羽目になり、場所に頭を悩ませることもある。

だからこそ、お気に入りの定食屋で温かいご飯を頬張る時間は格別なのだ。路面の振動で疲れた身体を休め、おばちゃんと一言二言かわす。そんな何気ないひとときが、午後からの街を再び力強く駆け抜けるための、一番のエネルギー源になっている。

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